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研究課題名
高齢者胃癌の臨床病理学的特徴
共同研究者
氏名 | 所属 | 職名 |
---|---|---|
新井冨生 | 東京都老人医療センター臨床病理科 | 医長 |
江崎行芳 | 狭山病院病理部 | 部長 |
井下尚子 | 虎ノ門病院病理部 | 医員 |
沢辺元司 | 東京都老人医療センター剖検病理科 | 部長 |
笠原一郎 | 東京都老人医療センター剖検病理科 | 医員 |
黒岩厚二郎 | 東京都老人医療センター外科 | 部長 |
本間尚子 | 東京都老人総合研究所老年病のゲノム解析チーム | 研究員 |
田久保海誉 | 東京都老人総合研究所老年病のゲノム解析チーム | 研究部長 |
研究内容
高齢者胃癌の加齢に伴う変化を明らかにするとともに、20年間における変化を明らかにするために,1984-2003年の20年間における胃癌切除例 994例(男性573例,女性421例,年齢中央値77歳)を対象とし、臨床病理学的に解析した。また、加齢変化(前期、中期、後期高齢者)、時代変化(前半10年と後半10年)も検討した.その結果,下部発生の胃癌は後期高齢者で多い傾向にあった。肉眼型は隆起型が加齢と伴に増加傾向にあった。組織学的に早期癌の90%は分化型癌であり、この比率は加齢と伴に増加した。一方、進行癌では分化型癌と未分化型癌はそれぞれ50%、49%であった。多発癌は加齢に伴い有意に増加し、前期11%,中期13%,後期19%であった。時代変化としては、下部胃癌の増加がみられる一方、85歳以上で上部胃癌の減少が認められた。以上の結果より,高齢者胃癌の特徴として、加齢とともに下部発生、分化型癌、多発癌の増加が明らかになった。しかしその一方で、分化型癌は癌の進行とともにその比率が約1/2に減少し、癌の進行とともに組織型の多様性が増大することが示唆された。