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研究課題名
マクロサテライト不安定性を示す高齢者大腸粘液癌:髄様型低分化腺癌との比較検討
共同研究者
氏名 | 所属 | 職名 |
---|---|---|
新井冨生 | 東京都老人医療センター臨床病理科 | 医長 |
笠原一郎 | 東京都老人医療センター臨床病理科 | 医員 |
沢辺元司 | 東京都老人医療センター臨床病理科 | 部長 |
金澤伸郎 | 東京都老人医療センター外科 | 医長 |
黒岩厚二郎 | 東京都老人医療センター外科 | 部長 |
本間尚子 | 東京都老人総合研究所老年病のゲノム解析チーム | 研究員 |
相田順子 | 東京都老人総合研究所老年病のゲノム解析チーム | 研究員 |
田久保海誉 | 東京都老人総合研究所老年病のゲノム解析チーム | 研究部長 |
研究内容
大腸癌の中で,粘液癌と低分化腺癌は高頻度にマイクロサテライト不安定性(以下MSI)を示し,加齢とともにその発生頻度は増加する.MSIを示す大腸粘液癌の病理学的特徴を明らかにするとともに,髄様型低分化腺癌との関連性を明らかにする.高齢者大腸粘液癌35例(MSIを示す15例とMSIを示さない 20例)を臨床病理学的に検討するとともに,粘液形質発現,hMLH1発現を免疫組織学的に検討した.粘液癌の結果を,MSIを高率に示す大腸髄様型低分化腺癌23例と比較した.その結果,MSIを示す粘液癌は高率にhMLH1発現減弱・MUC5AC発現がみられ,臨床病理学的にも右側結腸発生,腫瘍内炎症細胞浸潤,低リンパ節転移率という特徴を示した. MUC2発現と加齢に伴う発症頻度の変化を除いて,MSIを示す粘液癌は髄様型低分化腺癌と同様の特徴を示した.以上より,MSIを示す粘液癌と髄様型低分化腺癌とは共通する特徴を示すことが明らかになった.MSIとhMLH1発現減弱はこれら2つの大腸癌の発生に共通する重要な役割を演じている可能性が示唆された.