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研究課題名
高齢者がん発生における DNA修復系異常の意義
共同研究者
氏名 | 所属 | 職名 |
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新井冨生 | 東京都老人医療センター臨床病理科 | 医長 |
沢辺元司 | 東京都老人医療センター臨床病理科 | 部長 |
細井孝之 | 国立長寿医療センター先端医療部 | 部長 |
田中紀子 | ハーバード大学生物統計学 | 客員研究員 |
研究内容
加齢に伴うがん発生率の増加はDNA損傷の蓄積と関連がある.我々は,DNA修復系の分子機構に注目し,高齢者がんとの関連を検討した.その結果,ミスマッチ修復遺伝子のプロモーター領域のメチル化と高齢者に発生する胃癌・大腸癌とに関連を認めた.これらの癌はhMLH1蛋白発現減弱,マイクロサテライト不安定性,低分化の組織像,低リンパ節転移率,予後良好という臨床病理的特徴を示した.一方,DNA修復系遺伝子(hOGG1, p53, XRCC1, hMLH1)の一塩基多型とがんとの関連を剖検例を用いて検討した.一塩基多型とがん数に関連は認められなかった.しかし,一部の一塩基多型は特定のがんと関連を示すものもあった.これらの所見より,DNAミスマッチ修復系遺伝子のメチルかは高齢者胃癌・大腸癌の発生に重要な役割を演じていると考えられた.また,DNA修復系の一塩基多型は高齢者がんの発生に大きな影響力はないことが示唆された.