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研究課題名
冠状動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)関連遺伝子の同定に関する研究
共同研究者
氏名 | 所属 | 職名 |
---|---|---|
木村彰方 | 東京医科歯科大学難治疾患研究所分子病態分野 | 教授 |
和泉徹 | 北里大学医学部循環器内科 | 教授 |
Jeong-Euy Park | SungKyunKwan University School of Medicine, Samsung Medical Center, Div. Cardiology (Korea) | 教授 |
沢辺元司 | 東京都老人医療センター剖検病理科 | 部長 |
研究内容
冠状動脈疾患は心臓を栄養する冠状動脈の動脈硬化性病変を基盤とし、血栓や血管攣縮によって血流が途絶ないし減少して心筋の虚血を生じる疾患であり、臨床的な表現型は心筋梗塞や狭心症などである。冠動脈疾患発症の危険因子として男性、高齢、高血圧、肥満、高脂血症、喫煙、糖尿病などが知られているが、これらの危険因子を補正しても家族歴の有無で約3倍程度の発症率の差があることから、遺伝的要因(ヒトゲノム多様性)も疾患発症に寄与すると考えられる。このような観点から、心筋梗塞や冠状動脈硬化症の遺伝要因を探索する研究が行われている。とりわけ、網羅的な遺伝子多型解析は従来の知識バイアスなしに新たな疾患関連遺伝子を特定する有力な手法である。このような手法で日本人心筋梗塞の感受性遺伝子としてリンホトキシンA遺伝子(LTA)多型が報告されている。また、LTAと機能的連関を有するガレクチン2遺伝子(LGALS2)多型が報告された。また、欧米人では心筋梗塞を中心とする冠状動脈疾患の感受性を既定するゲノム多様性として9p21領域多型が報告された。我々は日本人および韓国人集団を対象として、これらの多型と冠状動脈疾患との関連を検証した。その結果、LTA多型、LGALS2多型は日本人、韓国人ともに心筋梗塞との有意な関連を認めなかったが、LTA多型は冠状動脈硬化の重症度(有意狭窄を呈する冠状動脈数)との関連を示した(#1)。一方、9p21領域多型との有意な関連は日本人および韓国人のいずれにおいても観察された(#2)。