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研究課題名
心筋梗塞・脳梗塞の遺伝因子の解明と個別化予防への応用
共同研究者
氏名 | 所属 | 職名 |
---|---|---|
山田芳司 | 三重大学生命科学研究支援センター ヒト機能ゲノミクス部門 | 教授 |
研究内容
1. 脳梗塞のゲノム全領域関連解析
対象集団A(脳血栓131例・対照135例、病院受診者)について、ゲノム全領域の約52万個のSNPsを同時に解析できるSNPチップを用いてゲノム全領域関連解析を行い、脳血栓発症と強く関連する(P < 1.0 × 10-20)SNPsを100個抽出した。次にこの100 SNPsについて対象集団B中の脳血栓705例・対照3426例(病院受診者)において関連解析を行い、脳血栓に関連するSNPsを3個検出した。これらのSNPsについて脳血栓96例でそれぞれの連鎖不平衡ブロックのシークエンスを行い、エクソンに位置するnonsynonymous(アミノ酸の置換を伴う)SNPsを3個(このうち2個はタグSNPs)およびsynonymous SNP(タグSNP)を1個検出した。これらの4個のSNPsについて、対象集団B(脳血栓790例・対照3435例、病院受診者)において関連解析を行い、3個のSNPsが疾患発症に関連することを認めた。これらのSNPsについてさらに対象集団C(脳血栓71例・対照1779例、地域住民)において関連解析を行い、脳血栓発症と強く関連するcadherin, EGF LAG seven-pass G-type receptor 1(CELSR1)遺伝子の2個のSNPs、A→G(Thr2268Ala, rs6007897)およびA→G(Ile2107Val, rs4044210)を同定した。
2. 心筋梗塞のゲノム全領域関連解析
3つの独立した集団で合計6853例(心筋梗塞2208例および対照4645例)についてゲノム全領域関連解析を行った。まず心筋梗塞134例・対照137例についてゲノム全領域に分布する約52万個の一塩基多型(SNP)を解析するSNPチップを用いてゲノム全領域関連解析を行い、心筋梗塞発症と関連する(P < 1.0×10-7)SNPsを70個抽出した。次に心筋梗塞1431例・対照3161例において解析し、さらに心筋梗塞643例・対照1347例において関連解析を行った。その結果、心筋梗塞発症と強く関連するBTN2A1遺伝子C→T多型(rs6929846)とILF3遺伝子A→G多型(rs2569512)を同定した。