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病理解剖例を用いた共同研究事業一覧

研究課題名

嗜銀顆粒性認知症の病理学的左右差について

研究内容

嗜銀顆粒性認知症(DG)とは、中枢神経系に嗜銀顆粒(AG)と呼ばれる構造物が出現する認知症である。高齢者では頻度の高い疾患であるが、臨床診断の指標がなく病理学的検索からの発信が急務である。連続剖検例653例を対象とし、認知症と関連が深いAGステージ3(Saito,2004)65症例を選択。左右の扁桃核と後方海馬を抗リン酸化タウ抗体による免疫染色、Gallyas-Braak鍍銀染色で染色し、AGの広がりと密度を半定量的に計測。さらに生前のCT、MRI、SPECT、FDG-PETを検討した。また凍結脳を用いアポリポ蛋白アレルを測定した。DGでは90.8%に病理学的左右差を認め、病理学的に左優位の方が重い認知症を呈した。生前形態画像全例で側頭葉内側面の萎縮を認め、うち20例で病理学的左右差と一致する左右差を伴う萎縮を認め、機能画像では全例に左右差を伴う機能低下を認めた。9例がアポリポ蛋白ε4保因者でその全例で左右差を認めた。アルツハイマー病(AD)における神経原線維変化の左右差は25%に認めるのみであった。形態画像でもDGでは42.6%に左右差があったのに対しADでは27.3%であった。以上より、病理学的に裏付けられた側頭葉内側面の左右差のある萎縮と機能低下は、DGの臨床診断の指標となり得る。

研究業績

# 論文名 リンク
1 Adachi T, Saito Y, Hatsuta H.,Funabe S, Tokumaru AM. Et al. Neuropathological Asymmetry in Argyrophilic Grain Disease. J Neuropathol Exp Neurol 69:737-744:2010 参照
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