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研究課題名
パラフィン包埋法を用いたヒト側頭骨病理学的研究
共同研究者
氏名 | 所属 | 職名 |
---|---|---|
高橋正時 | 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉科学 | 助教 |
木村百合香 | 東京都健康長寿医療センター耳鼻咽喉科 | 副部長 |
喜多村健 | 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉科学 | 教授 |
研究内容
ヒト内耳は脳の剖検時にのみ採取可能な組織で、迷路骨包の非常に深い部位に位置し、膜迷路は繊細な構造であるため、ヒト内耳組織病理学的研究は極めて困難である。一般的にヒト側頭骨病理に用いられるセロイジン包埋法は膜迷路の繊細な形態学とヒト側頭骨の固い迷路骨胞を保存できる手法である。しかしながら、セロイジンの特徴上、免疫組織化学的研究には適していない。対照的に、パラフィンは、組織病理学的研究と免疫染色のためにヒトおよび実験動物の組織標本を包埋する標準的な媒体である。ところが、パラフィン包埋はセロイジン包埋ほどヒト側頭骨構造を保存できない。本研究は、剖検検体から採取した内耳切片をパラフィン包埋し、ヒト蝸牛の良好な形態保存と免疫染色を可能にすることを目的とした。その結果、パラフィン包埋切片ではコルチ器の形態保存は良好で、タンパクの免疫染色も可能であった。今後さらなるヒト蝸牛の形態保持をめざし、ヒト内耳分子病理学への応用を試みる。