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研究課題名
サーファクタントプロテインDと肺気腫の関連:遺伝子関連解析による検討
共同研究者
氏名 | 所属 | 職名 |
---|---|---|
石井健男 | 日本医科大学呼吸ケアクリニック・ | 講師 |
萩原弘一 | 埼玉医科大学呼吸器内科 | 教授 |
池田仁子 | 東京医科歯科大学難治疾患研究所分子疫学講座 | 助教 |
新井冨生 | 東京都健康長寿医療センター病理診断科 | 部長 |
三重野牧子 | 自治医科大学情報センター・医学情報学 | 助教 |
熊坂利夫 | 日本赤十字社医療センター病理部 | 部長 |
村松正明 | 東京医科歯科大学難治疾患研究所分子疫学講座 | 教授 |
沢辺元司 | 東京都健康長寿医療センター高齢者バイオリソースセンター | 部長 |
弦間昭彦 | 日本医科大学内科学講座(呼吸器・感染・腫瘍部門) | 教授 |
木田厚瑞 | 日本医科大学呼吸ケアクリニック | 教授 |
研究内容
サーファクタント蛋白SFTPDはノックアウトマウスで肺気腫を形成する。SFTPD遺伝子の一塩基多型(SNP)とヒト肺気腫との関連を検討した。
2つの母集団を用いた。母集団Aは270名の喫煙者で、188名のCOPD症例を含む。母集団Bは1131名の連続剖検例で、160名の肺気腫症例を含む。母集団Aでは、SFTPDのSNPの遺伝子型と、胸部CTから算出したlow-attenuation area (LAA%)にて示される肺気腫の重症度との関連を検討した。母集団Bにおいても、遺伝子型と肺気腫の関連を検討した。
母集団Aにおいて、SNP rs721917のCアレルの数が増加すると、上肺野における%LAA、及び全肺野の%LAAが有意に高値を示した(p = 1.1 × 10-5、及びp = 1.0 × 10-4)。また、rs721917のCアレルの数が増加すると、SFTPDの血清濃度が有意に低下した(p = 7 × 10-11)。C/C (rs721917/rs10887199) のハプロタイプは、両母集団において肺気腫との関連を示した。
SNP rs721917のCアレルを持つ症例は、SFTPDの血清濃度が低く、肺気腫になりやすい。SFTPDが肺気腫形成に防御的に作用すると示唆された。