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研究課題名
関節軟骨細胞の培養にともなう表現型の変化の機序の解明
共同研究者
氏名 | 所属 | 職名 |
---|---|---|
福井尚志 | 国立病院機構相模原病院 | |
沢辺元司 | 東京都健康長寿医療センター高齢者バイオリソースセンター | 部長 |
宮本恵成 | 東京都健康長寿医療センター整形外科 | 医員 |
田代俊之 | JR東京総合病院 | 部長 |
桂川陽三 | 国立国際医療研究センター | 医長 |
古川 宏 | 国立病院機構相模原病院 | 研究室長 |
當間重人 | 国立病院機構相模原病院 | 研究部長 |
研究内容
関節軟骨細胞は軟骨基質から単離して単層培養で維持すると短期間のうちに細胞の形状が変化し、また細胞の代謝にも変化が生じて産生するマトリクスがII型コラーゲンやアグリカンといった軟骨固有のものからI 型、III型コラーゲンといった線維芽細胞に近いものへと変化していく。この現象は軟骨細胞の脱分化として40年以上前から知られていたが、その分子レベルでの機序は知られていなかった。本研究ではインテグリンに着目して研究を進め、軟骨細胞に発現しているインテグリンのうちavb5インテグリンがERKシグナリングを介して脱分化の進行と深くかかわっていること、さらにavb5インテグリンはRRASによって活性化のレベルが制御され、培養開始後の軟骨細胞の脱分化の進行はRRASの活性化によって制御されていることを見出した。本研究において剖検例の病的所見のない膝関節から採取した軟骨細胞を変形性関節症に罹患した関節から採取した細胞と比較することでこれらのインテグリンが変形性関節症の病態においても深く関与することが明らかとなった。